この記事では、ふるさと納税の返礼品ページで発生する薬機法違反のリスクと、中間事業者・返礼品事業者・自治体それぞれが今すぐ着手すべき対策方法について、わかりやすく解説します。
背景にあるのが、化粧品・健康食品といった薬機法の規制対象となる返礼品の増加です。
従来、薬機法違反の対策は、化粧品・健康食品を扱うメーカー中心の議論でした。
しかし、ふるさと納税の市場拡大とともに、その対象が中間事業者・返礼品事業者に広がりつつあるのが実情です。
自治体も、制度上の適正管理責任として、問題のある返礼品の取扱い中止リスクを負う立場にあります。
ふるさと納税の返礼品を扱う中間事業者(BPO・ポータル運営)・返礼品事業者(メーカー・OEM・EC担当)・自治体担当課の方は、ぜひご覧ください。
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なぜ今、ふるさと納税の返礼品ページで薬機法違反リスクが高まっているのか
| 責任を負う主体 | 対策の主軸 | |
| 従来の薬機法違反対策 | 広告主、支援事業者(広告代理店や制作会社)、媒体、インフルエンサー |
自社広告・LP・SNS等の表現チェック
|
| 『ふるさと納税×薬機法』 | 中間事業者、返礼品事業者、自治体担当課 | 返礼品ページの表現チェック |
返礼品市場の拡大と、化粧品・健康食品カテゴリの増加
ふるさと納税の市場は年々拡大し、返礼品のカテゴリも多様化しています。
特に近年増えているのが、化粧品・スキンケア・健康食品・サプリメント・機能性表示食品といった、薬機法の広告規制対象となる商品群です。
これらの商品は、「医薬品的な効能効果」を暗示する表現を使っただけで違反とみなされうる、規制の厳しい領域です。
ポータルサイトの掲載差し戻し・取扱い中止という実務リスク
ふるさと納税ポータルの多くは、返礼品掲載時に「関係法令を遵守していること」を要件としています。
返礼品事業者がページ表現の可否を自ら判断できないと、以下のような具体的な損失が発生する可能性があります。
- ポータルからの掲載差し戻しによる入稿遅延・機会損失
- 自治体による返礼品の取扱い中止・掲載停止のリスク
- 行政指導・課徴金・刑事罰などの法的リスク、およびレピュテーション低下
実際、化粧品の返礼品で薬機法上の問題が顕在化し、自治体が公式に自主回収・受付停止に踏み切った事例が複数発生しています。
一方で、静岡県のように、事業者が主体的に薬機法チェックを行うための独自チェックリスト(Excel)を配布し、事前対策に踏み込む自治体も出てきています。
それだけ、返礼品広告の薬機法リスクは、すでに現実の実務問題として顕在化しているのです。
▶︎ ふるさと納税返礼品の自主回収について(淡路市)
▶︎ (お詫びとご報告)指宿市ふるさと納税返礼品(化粧品)を贈らせていただいた皆様へ(指宿市)
▶︎ 化粧品をふるさと納税品として出品するに当たっての製品表示及び広告等について(静岡県)
「支援側事業者も当事者化」する時代。ステラ漢方事件が示した構造
2020年7月の『ステラ漢方事件』では、健康食品の広告主側だけでなく、広告制作・配信を支援していた代理店や制作関係者も薬機法違反容疑で逮捕されました。
従来、実務上は「広告主が主に責任を負う」と見られがちでしたが、支援側にも責任が及ぶことが示された事件です。
この構造は、ふるさと納税でも同様に意識する必要があります。
返礼品事業者だけでなく、中間事業者(ポータル運営・BPO受託事業者)も、原稿の作成・編集や表現の決定に関与する場合は、特に注意が必要です。
自治体担当者についても、返礼品ページの表現の作成や最終確認に深く関与する場合は、制度上の管理責任とあわせて注意が必要です。
ふるさと納税の返礼品ページで押さえるべき薬機法の基礎知識

薬機法は、下記のものの有効性や安全性を確保するために定められました。
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品
- 医療機器
- 再生医療等製品
ふるさと納税の返礼品でよく扱われる化粧品や美容機器は、上記の対象に直接含まれます。
一方、健康食品は、医薬品的な効能効果を標榜すると薬機法の規制対象となり得ます。
以下、条文をまじえて要点を解説します。
薬機法の規制対象は「何人も」。中間事業者・返礼品事業者・自治体も対象
(誇大広告等)
第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
条文内の「何人(なんびと)も」という記載が示す通り、規制対象は広告主に限られません。
すなわち、返礼品を製造する事業者だけでなく、返礼品ページを制作するBPO事業者、ポータル運営会社も、ページ表現の適否について責任を負う立場にあるということです。
自治体の担当課も、ページ表現の作成や承認に深く関与する場合は、規制との関係で注意が必要です。
「うちは中間事業者なので、薬機法は関係ない」という認識は、関与の仕方によっては通用しません。
医薬品ではない返礼品で「医薬品的効能効果」を謳うのはNG
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第68条 何人も、(中略)まだ承認又は認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
健康食品について医薬品的な効能効果を標榜すると、未承認医薬品等の広告とみなされ、その効能・効果・性能に関する広告は禁じられます。
一般化粧品には、認められた56項目の効能効果の範囲があり、その範囲を超える表現はできません。
ただし、健康食品のうち次に該当するものは、それぞれ定められた範囲で機能や効果を表示できます。
- 特定保健用食品(トクホ):消費者庁の許可を受けた効能効果を表示できる
- 栄養機能食品:国が定めた基準を満たせば、あらかじめ決められた栄養成分の機能を表示できる
- 機能性表示食品:事業者の責任で科学的根拠を基に消費者庁へ届け出た機能性について、その範囲内で表示できる
返礼品として扱う商品がこれらに該当するかどうかは、企画段階で必ず確認が必要です。
返礼品ページは「広告」に該当するか?広告3要件(誘引性・特定性・認知性)で判定
薬機法上、次の3要件をすべて満たす場合に『広告』に該当するとされています(厚生労働省の通知)。
誘引性:顧客を誘引する意図が明確であること
特定性:特定の商品名が明らかにされていること
認知性:一般人が認知できる状態であること
ふるさと納税のポータルサイトに掲載される返礼品ページは、この3要件を明確に満たすと考えられます。
したがって、返礼品ページの文言はすべて薬機法の広告規制の対象となります。
薬機法違反に対する主な対応
行政指導
行政指導(是正や報告の求め)のほか、違反の内容によっては措置命令(中止・再発防止等)の対象にもなり得ます。
刑事罰
第85条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。4 第66条第1項又は第3項の規定に違反した者5 第68条の規定に違反した者
課徴金
2021年8月から、虚偽・誇大広告(第66条第1項)に対する課徴金制度が導入されています。
対象期間の売上(対価合計額)の4.5%が課される仕組みです
ふるさと納税ならではの追加リスク。返礼品指定取消し
薬機法上の対応に加え、ふるさと納税ではポータルの掲載停止や、自治体による返礼品の取扱い中止など、制度・取引上の損失につながり得ます。状況によっては指定の見直し等が問題になることもあります。
事業者にとっては売上の減少、自治体にとっては寄附受入への影響など、実務上の打撃になり得ます。
返礼品カテゴリ別・薬機法違反になりやすいNG表現の実例

ここからは、返礼品カテゴリごとに典型的なNG表現と、安全な言い換え例を示します。企画・入稿・審査のいずれの立場でも、まず押さえるべき基礎ケーススタディです。
化粧品の返礼品でよくあるNG表現
一般化粧品では、認められた56項目の効能効果を超える表現がNGです。
以下は典型例です。
実際の可否は製品の種類(一般化粧品/医薬部外品)や表示全体の文脈で判断してください。
| NG表現 | 理由 | 言い換え例 |
| シミが消える | シミの治療・改善を示す医薬品的な表現 | メーキャップ効果によりシミを一時的にカバーする |
| アンチエイジング | 老化防止・若返りと受け取られるおそれ | 年齢に応じたお手入れ |
| ニキビが治る | ニキビの治療・改善を示す | 肌を清浄にする、肌を整える等 |
| 美白効果 | 一般化粧品での使用は製品区分・文脈の確認が必要 |
明るく透明感のある印象に整える
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| シワを改善 | 一般化粧品ではシワの改善を示せない | 乾燥による小ジワを目立たなくする |
健康食品・サプリの返礼品でよくあるNG表現
健康食品は、原則として効能効果を標榜できません(トクホ・栄養機能食品・機能性表示食品は、認められた範囲内の表示を除く)。
部位や症状名を出すだけで違反リスクが跳ね上がります。
| NG表現 | 理由 | 言い換え例 |
| 免疫力アップ | 身体機能の増強を示す。健康増進法・景品表示法・薬機法上の問題が生じ得る | 毎日の健康習慣に |
| 血圧が下がる | 血圧という身体指標への効果を示す。一般食品では特にリスクが高い | 健やかな毎日をサポート |
| 疲労回復 |
疾病の治療・身体機能の改善を示す医薬品的な表現
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リフレッシュタイムに |
| デトックス効果 |
身体の浄化・機能改善を暗示し、医薬品的と受け取られやすい
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巡りをサポート |
| 肝機能を改善 | 臓器・機能の改善を示す。ステラ漢方事件でも問題となった類型 | 食生活が偏りがちな方に |
医療機器・美容機器の返礼品でよくあるNG表現
| NG表現 | 理由 | 言い換え例 |
| シワを取る |
しわの除去・改善を示す医療機器的・医薬品的な表現
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フェイスケア習慣に
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| 医療レベルの効果 |
裏付けのない優良誤認・誇大になりやすい表現
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ご家庭で本格ケア |
| 脂肪を分解 |
体の組織・機能への作用を示す医薬品的・医療機器的な表現
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ボディラインを整える |
体験談・レビュー・お客様の声の使い方
ステラ漢方事件で特に問題視されたのは、医薬品的な効能効果をうたった体験談の使用でした。
返礼品ページに「実際に使った方の声」を掲載する場合、薬機法上は以下の点に注意が必要です。
- 実在しない体験談・架空のレビューは、虚偽・誇大広告として即NG(薬機法第66条)
- 実在の体験談であっても、医薬品的な効能効果(疾病の治療・予防や身体の機能改善を暗示する内容)を語るものはNG(薬機法第66条・第68条)
- 化粧品の場合、認められた56項目の効能効果を超える内容を体験談で表現することもNG
-
健康食品では、体の部位・症状・検査値の改善などを語る体験談は特にリスクが高いです
真実の体験談であっても、薬機法の広告規制対象になれば違反となります。
中間事業者・返礼品事業者・自治体、それぞれの責任と対応

薬機法違反リスクは、返礼品事業者だけの問題ではありません。
三者それぞれが、役割に応じてリスク管理が求められる構造を正しく理解する必要があります。
自治体(ふるさと納税担当課):ふるさと納税制度上の適合性を管理する主体
- 返礼品の掲載・更新に関する確認の流れを決めておく
- 事業者や委託先に、表示内容と根拠資料の提出を求める
- 問題となりうる表示を把握したときの修正・停止の手順を決めておく
中間事業者(BPO・ポータル運営):業務範囲に応じて表示確認を担う立場
中間事業者やポータル運営事業者の業務範囲は、自治体との契約内容によって異なります。
返礼品情報の登録のみの場合もあれば、ページの企画、原稿作成、編集、審査、掲載、メール・バナー等の配信まで担う場合もあります。
自ら表示内容を作成・修正・決定したり、返礼品を強調した宣伝・配信を担ったりする場合は、次の確認が必要です。
- 商品区分に応じた薬機法、景品表示法、健康増進法、食品表示法等
- ふるさと納税の募集の適正に関する基準
実務上は、自治体・返礼品事業者・中間事業者の間で、少なくとも次を契約や運用手順に明記しておくことが重要です。
- 商品情報と表示根拠を誰が提出するか
- 原稿を誰が作成・修正するか
- 法令適合性を誰が確認するか
- 最終承認者は誰か
- 掲載後の修正・削除を誰が行うか
- 問題表示が発見された場合の連絡・停止手順
担当者教育には、社内研修、外部専門家への相談、民間資格の取得など複数の方法があります。
特定の資格の取得・配置は薬機法上の義務ではありませんが、表示確認の体制を整える手段の一つとして、「薬機法管理者」の活用が有用な場合もあります。
返礼品事業者(メーカー・OEM・EC):広告主として第一次責任
ポータルからの差し戻しは工数と機会損失を発生させ、返礼品の取扱い中止は売上の直接的損失を招きます。
社内に薬機法を判断できる人材がいない場合、外部チェックサービスに頼らざるを得ませんが、それでは商品開発・企画の上流工程で表現を十分に検討できません。
実務上の初動としては、次が考えられます。
- 企画段階で、表示内容と根拠(製品区分・届出・許可の有無等)を確認し記録する
- 入稿前の社内確認手順を決める
- 中間事業者・自治体へ渡す商品情報・表示根拠を整理する
三者の役割と、実務上の初動対応
| 主体 | 役割 | 実務上の初動対応 |
| 自治体 | ふるさと納税制度への適合性の管理/返礼品・募集方法の確認 | ①承認・確認フローを整備する。②事業者・委託先向けの提出資料と表示確認基準を定める |
| 中間事業者 | 契約に基づくページ制作・編集・掲載・配信 | ③誰が原稿を作成・修正・承認するかを明確にする。④商品区分や表示根拠に疑義がある場合の照会・差戻し手順を定める |
| 返礼品事業者 |
表示の第一次的な責任
|
⑤商品企画から掲載・更新まで、表示内容と根拠資料を確認・記録する |
ふるさと納税の返礼品ページで推奨する4つの対策方法

薬機法上、認識の有無にかかわらず違反となり得ます。
不安がある場合は、次のいずれかの対策から検討するのが有効です。
メリット・デメリットを踏まえ、自社の状況に合った組み合わせを選んでください。
自社/庁内で返礼品ページを確認し、問題表現を修正・削除する
広告3要件と、カテゴリ別のNG表現を踏まえて、既存の返礼品ページを自ら見直す方法です。
判断に迷う場合は、都道府県の薬務主管課に一般的な考え方を確認したり、信頼できる専門家の書籍・情報で照合したりする方法があります(個別文案への保証までは得られない場合が多い点には留意してください)。
メリット
- コストがかからない
- 即時性が高い
デメリット
- 自社/庁内のリソースを取られる
- 専門知識や最新動向に関する情報が必要
- 化粧品56項目・健康食品NGワード・総務省告示を横断で判断できる人材が必要
- 返礼品数が多いと工数が膨大
AIチェックサービス・広告表現チェックサービスを利用する
薬機法の表示ルールは、条文だけでなく厚生労働省などの通知・運用も含めて把握する必要があり、専門的な学習や経験が求められます。
近年は、返礼品や商品表示向けに、AIや専門スタッフによるチェックサービスも提供されています。(例:ふるさと納税の表示チェックに対応するサービスなど。料金・納期はサービスにより異なります。)
メリット
- 大量の返礼品を一次スクリーニングしやすい
- 見落としの一次的なリスクを抑えやすい
- 専門知識が少なくても、チェック運用を始めやすい
デメリット
- 費用が返礼品数や更新頻度に応じて累積しやすい
- 納期が、入稿・公開のスケジュールを制約する場合がある
- AIは文脈判断や、表現の「落としどころ」の判断が苦手なことがある
- 商品企画の上流での方針決定には向きにくく、原稿・ページ確認が中心になりやすい
- 最終的な責任は事業者側に残る(ツールが通しても、違反があれば事業者責任)
- 組織内に判断の知見が蓄積しにくく、同じミスを繰り返しやすい
AIチェックはあくまでスクリーニングであり、根本解決にはなりません。
人材育成サービスを利用する。薬機法管理者資格の取得
薬機法の専門知識を体系的に社内へ持ち込む方法です。中でも『薬機法管理者資格』は、薬事法ドットコムが2006年から認定してきた実務特化型の資格として、20年近い実績があります。
「自分でチェックするのは大変だし自信もないけれど、返礼品ごとにAIチェックを使い続けるのも費用面で現実的でない」という方も多いかと思います。
そんな方は、最低限の薬機法の知識を体系的に学ぶことが、効率と費用の面で最も有効です。
中国の老子の言葉に「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」とあるよう、一度身につけたノウハウは一生モノの財産。ふるさと納税の返礼品広告リスクをマネジメントするためには、避けては通れない道です。
メリット
- 初期投資(受講費約9万円)で長期リターン。外部チェックの費用累積と比較して数十倍のROI
- 企画・商品開発の上流工程から判断可能。攻めた表現・複合規制対応もカバー
- 中間事業者は「薬機法管理者在籍」を営業資料に明記でき、自治体・返礼品事業者からの信頼獲得と受注差別化に直結
- 返礼品事業者にとっては担当者の個人の武器(キャリア資産)となり、離職防止・採用強化にも寄与
- ステラ漢方事件のような支援側事業者の当事者化リスクを社内で判断・回避できる体制になる
- オンライン完結・約2ヶ月で取得可能(在宅・ネット受験OK)
デメリット
- 受講期間(約2ヶ月)が必要
- 全表現の網羅チェックには社内運用の設計が必要(次の④と組み合わせが最適)
薬機法管理者資格は、外部AIチェックが提供できない「組織の判断能力そのもの」を社内に構築する選択肢です。
社内・庁内ガイドラインを整備する
薬機法違反リスクを組織的に抑えるため、NG事項やチェックの手順を明文化したガイドラインを整備する方法です。
作成後は、関係部署・委託先を含めて共有し、改定ルールも決めておくと運用しやすくなります。
ガイドラインに含めうる項目の例は次のとおりです。
- 対象となる商品区分と、確認の観点
- NG表現の例と、言い換えの方向
- 体験談・レビューの扱い
- 原稿の作成・確認・最終承認の分担
- 疑義時・問題発見時の差戻し・停止手順
- 見直しの頻度と改定履歴
組織として確認の手順を定めていた事実は、問題が起きた際の説明や再発防止策の提示に役立ち得ます。
ただし、ガイドラインがあること自体が、個別の違反を免責するものではありません。
メリット
- 判断基準を共有し、属人化を抑えやすい
- チェック工程の抜け漏れを防ぎやすい
- 担当が変わっても、一定の水準で確認しやすい
デメリット
- 形骸化しやすい
- 法令・通知の更新に合わせたメンテナンスが必要
- 作成・改定には、薬機法に関する一定の知識が必要
4対策のコスト・スピード・リスク低減・組織学習度の比較
| 対策 | 初期コスト | 累積コスト | リスク低減 | 組織学習 |
| ①自社見直し | ゼロ | ゼロ | △ | △ |
| ②AIチェック | ゼロ〜低 | 高(返礼品数×更新頻度で累積) | ○ | ✕ |
| ③薬機法管理者 | 中 | 低 | ◎ | ◎ |
| ④ガイドライン整備 | 中 | 低 | ○ | ○ |
結論:AIチェック+薬機法管理者+ガイドラインの三位一体が最適解
- ②AIチェックで大量返礼品を効率スクリーニング
- ③薬機法管理者が最終判断・企画上流での意思決定を担当
- ④ガイドラインで社内・庁内の判断基準を共通化
①の自社見直しは、件数が少ない場合の応急対応や、上記を導入する前の棚卸しとして有効です。
この三位一体で運用すれば、差し戻しゼロ・指定取消しゼロ・組織学習の蓄積をすべて実現できます。
ただし、いかなる体制でもリスクをゼロにはできません。
そして、この三位一体の中心軸となるのが薬機法管理者資格です。
AIもガイドラインも、使える人がいなければ形骸化します。
人材の育て方は、社内研修、外部相談、民間資格の受講など、組織の状況に応じて選ぶことになります。
まとめ
- 薬機法の表示規制が問題になりやすい返礼品(化粧品・健康食品・美容機器等)の取扱いが増えている。
- 規制対象は「何人も」であり、返礼品事業者だけでなく、表示に関与する中間事業者や、制度管理を行う自治体も、役割に応じた確認・対応が求められる。
- 化粧品/健康食品/美容機器など、カテゴリ別のNG表現を押さえる必要がある。
- 対策の型は、①自社見直し/②AI等のチェック/③人材育成/④ガイドラインの4つ。AIチェックは一次スクリーニングとして有効だが、それ単独では社内に判断力は残らない。
- 薬機法管理者資格+AIチェック+ガイドラインの三位一体が、差し戻しゼロと指定取消しゼロを同時に実現する最適解。
ふるさと納税の返礼品ページについて、社内・庁内で判断できる体制づくりが重要です。
まずは既存ページの棚卸しと、誰が作成・確認・承認するかを決めるところから着手するのが現実的です。
