インフルエンサーやYouTuberが薬機法違反の対策をするべき理由と具体的な対策方法

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この記事では、インフルエンサーやYouTuberが薬機法(旧・薬事法)違反の対策をするべき理由と具体的な対策方法について、わかりやすく解説します。

その背景にあるのが、タレントのてんちむさんがプロデュースした商品が、バストアップ効果をうたい「薬機法に触れるのではないか?」とSNS上で指摘された事案。

その後も、インフルエンサー兼起業家として活躍していたハヤカワ五味氏やゆうこすさんが、同様に効果効能をうたい炎上したのは、記憶に新しいところです。

<参考>
▶︎【代表取締役ハヤカワ五味からのお詫びと今後の対応につきまして】
▶︎ゆうこす「Wi-Fiが肌に悪影響」と根拠なく批判して自社の化粧品宣伝。「言い間違い」とする謝罪も削除

人生100年時代』と言われ、ヘルスケアビジネスが盛り上がる中、従来型の広告と共に、SNSを通じたインフルエンサーやYouTuberを起用したマーケティングが主流になっています。

インフルエンサーやYouTuberの投稿内容が薬機法違反となるリスクも高まっているため、インフルエンサーやYouTuberはもちろん、インフルエンサーマーケティングを展開する広告主や広告代理店の方は、ぜひご覧ください。

※本ページはプロモーション(広告)が含まれています

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タレントのてんちむさんが指摘されたバストケアクリームの広告

指摘の概要

2019年11月14日、てんちむさんによる「脂肪を大きくする成分がたっっっぷり含まれてて」というInstagram上の投稿が、効果効能にあたり、薬機法違反にあたる可能性が指摘されました。

 

この投稿をInstagramで見る

 

てんちむ/愛 天華(@super_muchiko)がシェアした投稿

その後、てんちむさんは、別件の謝罪と共に薬機法管理者資格の取得意向を表明しています。

<参考>
▶︎てんちむ「未熟だった」PR広告案件で反省と謝罪(日刊スポーツ)

てんちむさんが指摘されている事案は、豊胸疑惑景表法違反など、いくつかありますが、本記事では薬機法に絞って取り上げました。

また、てんちむさんがすべての指摘の矢面に立ち、てんちむさんを起用し、広告責任を負うべき広告主が一切コメントを出していない問題は、本記事の趣旨から外れるため、今回は触れません。

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インフルエンサーやYouTuberがおさえておくべき薬機法の基礎知識

薬機法は、下記の有効性や安全性を確保するために定められました。

  • 医薬品
  • 医薬部外品
  • 化粧品
  • 医療機器
  • 再生医療等製品

この内、みなさんが理解しておくべき原理原則論は「第10章 医薬品等の広告」です。

下記に条文をまじえてポイントを解説いたします。

広告主だけでなく、インフルエンサーやYouTuber、広告代理店・制作会社・ライター・アフィリエイターも規制対象となる

(誇大広告等)
第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

条文内の「何人(なんびと)も」という記載がそれを示します。

医薬品でもないのに、まるで医薬品のような効果効能があるような表現はNG

(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第68条 何人も、第14条第一項、第23条の2の5第1項若しくは第23条の2の23第1項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第14条第1項、第19条の2第1項、第23条の2の5第1項、第23条の2の17第1項、第23条の25第1項若しくは第23条の37第1項の承認又は第23条の2の23第1項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

健康食品は、すべて未承認医薬品にあたり、効能、効果又は性能に関する広告は禁じられています。

すなわち、健康食品を扱うメーカーや販売業者などの広告主はもちろん「何人(なんびと)も」に当たるインフルエンサーやYouTuber、広告代理店・制作会社・アフィリエイターは、健康食品の広告・記事で医薬品と誤解されるような言及・暗示に及ぶと薬機法違反となることを意味します。

お客さまの立場になると分かりやすいかと思いますが「医薬品ではない健康食品があたかも医薬品のように売られ、そういった商品を扱う会社が不当な利益を得る社会・市場は健全か?」という問題認識です。

ただし、健康食品の中でも、下記に分類される商品は、定められた効能効果を標ぼうすることができます。

  • 特定保険用食品(トクホ):効能効果表現を消費者庁に許可してもらう
  • 栄養機能食品:一定の基準をクリアすれば予め定めている効能効果表現が言える
  • 機能性表示食品:エビデンスをもって、健康食品の具体的な効果について言える

取り扱える商品の幅は狭まりますが、薬機法対策の負担リスクを軽減するために、これら効能効果を標ぼうできる商品だけを取扱うという戦略もありえます。

薬機法上の広告の定義

薬事法上、下記要件を満たせば「広告」に該当すると言われています。

誘引性:顧客を誘引する意図が明確であること
特定性:特定の商品名が明らかにされていること
認知性:一般人が認知できる状態であること

これに触れない単なるSNS投稿やブログ、コラムでの感想なら、情報源や信憑性は問われますが、効果効能をうたっても表現の自由とされます。

広告代理店や制作会社の方は、まずこの3要件を知っておくだけでも、判断がしやすくなります。

罰則

行政指導

行政が行う是正措置を指します。

具体的には違法状態の是正報告書の提出を求められます。

刑事罰

第85条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。4 第66条第1項又は第3項の規定に違反した者5 第68条の規定に違反した者

第86条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
15 第67条の規定に基づく厚生労働省令の定める制限その他の措置に違反した者

なお、違反者の所在地だけではなく、商品購入者の所在地管轄の警察にも捜査権が発生します。

また行政とは異なり、体験談の捏造の裏付けまで捜査できる点、行政よりも追及はシビアです。

課徴金

2021年8月から新たに、行政からの課徴金命令(違法によって得た利益の没収)が導入される予定です。

てんちむさん含め、インフルエンサーやYouTuberが逮捕される事例は今のところありません。

しかし企業案件で、依頼側である広告主が逮捕された場合、インフルエンサーやYouTuberの投稿内容によっては、間接的に責任が問われる可能性はあります。

広告主は、行政指導、刑事罰、課徴金だけでなく、表示の全面改訂・製品回収・広告中止による実損害やレピュテーションリスクなど、事業運営に多大な影響を及ぼしますので、間接的な関与とは言え、投稿内容には十分注意しましょう。

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インフルエンサーやYouTuberが薬機法の対策をするべき理由

「リスク」と「チャンス」の両側面からまとめましたので、ご覧ください。

SNSでの炎上によるブランド既存

繰り返しになりますが、インフルエンサーやYouTuberが逮捕される事例は今のところありません。

また、単なる自分の感想をSNS投稿するだけなら表現の自由とされます。

しかし企業案件や自分がプロデュースした商品をSNSで「○○に効く」とPRしたケースでは、消費者や専門家が指摘→炎上→お詫びというパターンが目立ちます。

インフルエンサーやYouTuber、広告主とも「SNSでの炎上によるブランド毀損」といったリスクを負う可能性があるのが、対策をするべき最大の理由です。

対外的な評価が高まる

  • インフルエンサーやYouTuber:「参入障壁が上がっている中、競合インフルエンサーが減る」「広告主の評価が高まり、特別な案件や単価のオファーが増える」といったチャンスが得られる可能性があります。広告主から見れば、薬機法を理解してくれているインフルエンサーは、安心して依頼できるためです。
  • 広告主:コンプライアンス面の評価が高まるため「ブランドイメージの向上」、企業フェーズによっては「M&AやIPO時の企業価値算定にプラス」といった効果をもたらします。
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インフルエンサーやYouTuberにオススメする、具体的な対策方法

薬機法違反は、知らなかったでは済まされません。

不安がある場合は、すぐに下記いずれかの対策をオススメします。

  • 自分で投稿を見直して修正(リライト)する
  • 薬機法の広告表現チェックサービスを利用する
  • 薬機法を独学で学べるサービスを利用する

自分で投稿・広告・記事を見直して修正することが難しい場合「広告表現チェックサービス」や「薬機法学習サービス」の利用が対策方法として有効です。

対策方法ごとにメリット・デメリットもまとめましたので、ご自身に合った対策をお選びください。

自分で投稿を見直して修正(リライト)する

薬機法違反の要件を踏まえて投稿を見直し、違反表現があったら修正(リライト)する、最もシンプルな対策です。

判断に迷う場合は、各都道府県の行政機関(薬務課)に問い合わせるか、信頼できる専門家が発信した書籍やサイトで確認しましょう。

メリット

・コストがかからない

デメリット

・自身のリソースを取られる

・専門知識や最新動向に関する情報が必要

・見落としや先入観や思い込みによる誤解で、修正漏れが起こりやすい

薬機法の広告表現チェックサービスを利用する

薬機法の違反ルールは、条文だけでなく、厚生労働省などの行政が発令する無数の通知を網羅して、はじめて理解できる代物です。

これらのルールを把握するのは、一般人には不可能に近く、担当行政と薬機法の専門家のみと言っても過言ではありません。

確実な対策をとるには、専門の広告表現チェックサービスを利用することをオススメします。

メリット

・自身のリソースをとられずに済む関連法令(景品表示法・健康増進法)含めた的確なチェックが期待でき、違反防止効果が高い訴求力や反響をケアした言い換え表現の提案をしてくれることが多い

デメリット

・費用がかかる

薬機法を独学で学べるサービスを利用する

具体的には、資格(薬機法管理者)・セミナー・講座・教材(代替表現集)サービスの活用です。

「自分でチェックするのは大変だし自信もないけれど、広告や記事をつくるたびに広告表現チェックサービスを利用するのも費用面で現実的でない」という方も多いかと思います。

そんな方は、最低限の薬機法の知識を体系的に学ぶことが、効率と費用の面で有効です。

中国の老子の言葉に「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」とあるよう、一度、身につけたノウハウは一生モノの財産。最初は大変ですが、健康食品や美容化粧品のアフィリエイターとして長く継続するためには、避けては通れない道かもしれません。

メリット

  • 専門知識や最新動向に関する情報が体系的に習得できる
  • 初期投資は必要だが、長い目で見ると広告チェックサービスよりは効率と費用の面で有効
  • 広告主やASPに信頼され、差別化ポイントとなる

デメリット

  • 自身のリソースを取られる
  • 広告チェックサービスに比べると、チェックの確実性は劣る
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広告主にオススメする、具体的な対策方法

企業が伝えたいことをインフルエンサーやYouTuberに伝え、それをインフルエンサーやYouTuberが告知した場合、「インフルエンサーやYouTuberが勝手にやったこと」という弁解は許されません

薬機法に触れた場合は、 企業の責任になります。

不安がある場合は、インフルエンサーやYouTuberと同様(むしろそれ以上に)、下記いずれかの対策をオススメします。

  • 自社で投稿を見直して修正(リライト)する
  • 薬機法の広告表現チェックサービスを利用する
  • 薬機法を独学で学べるサービスを利用する

インフルエンサーやYouTuberの発信内容に関与せず、自由に発言してもらう形にすることも、リスクヘッジ方法の一つです。

注意したいのは、薬機法違反の問題をクリアしたとして、お客さまに商品の魅力が伝わらなければ、買う人はいないということ。

リスクマネジメントとマーケティングを高いレベルで両立させて、初めて意味のある対策と言えます。

対策サービスを利用する際は、このバランスが考慮されているか?がチェックポイントになるでしょう。

健康食品・美容化粧品のインフルエンサーマーケティングは、最高レベルに競合がひしめく分野です。

だからこそやりがいもリターンも大きい。

ぜひ万全の対策を打って、他とは違うインフルエンサーやYouTuberを目指してください。

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まとめ

  • 薬機法の対策をしないと「SNSでの炎上によるブランド既存」といったリスクを負う可能性があります。
  • 対策することで「参入障壁が上がっている中、競合インフルエンサーやYouTuberが減る」「広告主の評価が高まり、特別な案件や単価のオファーが増える」といったチャンスが得られる可能性があります。
  • 自分で投稿を見直して修正することが難しい場合「広告表現チェックサービス」や「薬機法学習サービス」の利用が対策方法として有効です。
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