この記事では、AI時代における、薬機法の専門資格『薬機法管理者』の価値・活用方法について、わかりやすく解説します。
ChatGPT・Bing・Bardのような生成AIが登場し、前例のないスピードで人々の働き方を変えようとしています。
薬機法の規制の下で事業展開する、健康食品（サプリ）、美容化粧品（コスメ）をはじめとするヘルスケア業界に欠かせない広告表現や、その薬事チェックも、ご多分に漏れず、その対象。
だからといって「生成AIがあれば、薬事チェックも自動化できるんじゃないの？」「『薬機法管理者』の資格をとっても意味ないんじゃないの？」と結論づけるのも、また早計です。
『薬機法管理者』の資格取得を検討している方は、ぜひご覧ください。
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生成AIの登場で薬事チェックも効率化
2022年11月に一般公開されたChatGPTを皮切りに、世界中で生成AIが大きく普及しました。
あらゆる業界・業務で、生成AIの活用が進む中、下記のように薬事チェックにも活用する動きがあります。
- ChatGPTに直接「この表現を薬機法観点で評価して」「薬機法に抵触する場合、代替表現を提案して」と聞く
- 薬事チェックに特化したAIツールを導入する
このような生成AIの活用は、薬機法に適合する広告やマーケティングに取り組む企業の生産性を劇的に改善する可能性を秘めています。
生成AIの限界と『薬機法管理者』の必要性
生成AIの限界
生成AIは、質問に対する回答をダイレクトに示してくれます。
検索エンジンと違って、一見すると非常に便利に感じますが、実は得意不得意があります。
たとえば、試しにChatGPT4（有料版、通常版より1.4倍の正確性）に、薬事チェックをお願いしたところ、下記の回答でした。
「美白」という広告表現の使用は、国や地域によって異なる法律や規制によって決定されます。
特に、日本においては、この表現は特定の条件下で使用可能です。
日本では、化粧品の広告に関する規制は厚生労働省の薬機法（医薬品、医療機器等法）によって定められています。
薬機法では、化粧品が「医薬品」としての効能をうたうことは禁止されていますが、「美白」という表現は化粧品のカテゴリーにおいて認められることがあります。
この表現を使用する場合、以下の点に注意する必要があります：
- 具体的な効果の証明: 「美白」という表現を使用するには、その効果が科学的に証明されている必要があります。
- 誤解を招かない表現: 広告では、消費者に誤解を招くような過大な表現を避ける必要があります。
- 医薬品との区別: 化粧品としての「美白」効果は、医薬品としての治療効果とは異なるということを明確にする必要があります。
したがって、「美白」という表現を使用する場合は、これらのガイドラインに従い、適切なコンテキストと証明が必要になります。規制は国や地域によって異なるため、特定の市場での広告表現に関しては、その国や地域の法律や規制に従うことが重要です。
本来、一般化粧品では「美白」や「白」は謳えず、この回答は誤りです。
続いて、代替表現のリライト提案を依頼したところ、下記の回答でした。
薬機法に基づき、「美白」という表現がNGである場合、以下のような代替表現を検討することができます：
- 「透明感を引き出す」: 肌のクリアな印象を強調する表現です
- 「肌のトーンアップ」: 肌の明るさや健康的な印象を表現します
- 「くすみをケア」: 肌のくすみに対処することを示唆します
- 「明るい肌印象」: 肌が明るく見える効果を強調します
- 「肌色補正」: 肌色を均一に見せる効果に焦点を当てた表現です。
これらの表現は、直接的な「美白」効果をうたうのではなく、肌の印象やケアに焦点を当てることで、薬機法の規制を遵守しつつ消費者に魅力を伝えることができます。
ただし、これらの表現も製品の特性や効果を誤解させないように注意する必要があります。
やはりこちらも、化粧品で認められた56の効能効果を逸脱している表現もあり、現時点では正確性に欠ける部分もあります。
生成AIが提供する情報は、大規模言語モデル（LLM）と呼ばれる仕組みを採用し、ある単語や文章の次に来る単語や文章を推測し、統計的にそれっぽい回答を生成するものです。
したがって、作業の出発点としてのみ利用すべきで、常に専門家による確認と検証が必要です。
特に、薬機法のような法律分野では、この点が非常に重要になります。
また、薬機法の条文には原理原則論しか記載しておらず、これが正解という答えがありません。
行政の運用による判断要素が大きいため、生成AIのみに頼ることはリスクが伴います。
生成AIを活用したヘルスケア事業者の声
薬機法の規制の下で事業展開する、ヘルスケア事業者は、生成AIの有用性と限界を認識しています。
そのことを示すコメントを下記に一部紹介いたします。
ヘルスケア機器事業者
AIによるチェックは確かに早いですが、フィードバックが古かったり、タイムリーでなく、前後文脈が重要な薬機法では、適切な判断がしづらい側面があります
総合ヘルスケア事業者
最近はAI技術の活用も注目されていますが、薬機法や景表法独特の条件や前後の文脈を踏まえる必要性を考えると、まだまだ私たちのニーズに対応できるレベルにはありません
広告代理店
現在のAIは、技術の正確性はもちろん、自社の特定の状況にどう適用すべきか？という視点に懸念点もあります
ヘルスケア機器事業者
AIツールの活用も選択肢にありましたが、NGワードのリストや、リスクレベルを数字で示されても、その採否はこちらに委ねられ、基準が分からない数字をもとに判断しなければなりません
AI時代を踏まえた『薬機法管理者』の必要性
生成AIの限界を考慮すると、薬機法の専門資格『薬機法管理者（旧・薬事法管理者）』の必要性は、より一層明確になります。
正確性
『薬機法管理者』だからといって、有資格者に薬事チェックを依頼すれば必ず安泰とは言えません。
しかし、生成AIの構造上（ある単語や文章の次に来る単語や文章を推測し、統計的にそれっぽい回答を生成）、誤りも多い中、AIの回答通りに広告を展開することは、極めて大きなリスクです。
体系的かつ実務観点で知識を持つ『薬機法管理者』有資格者の存在と検証は、より重要になります。
文脈に基づいた判断
『薬機法管理者』有資格者によっては、特定の状況や文脈を理解し、それに基づいた評価を下すことができます。
生成AIやAIツールは、薬機法に抵触する可能性があるキーワードがあれば、瞬時に特定してくれます。
しかし文脈や前提の理解が不十分なこともあり、本来、OKであるはずの表現にアラートを出したり、逆にNG表現をOKとみなす場合もあります。
また、リスクレベルには様々な程度や段階があり、その時々の行政の運用によっても変わります。
単に「危険」「安全」といった、一律的なアラートではなく、それらに応じた、より細かく調整された評価は、人間ならではの強みです。
行政への相談
薬機法の運用は、厚労省だけでなく、本店所在地の都道府県庁が管轄しており、その運用スタンスも様々です。
したがって、場合によって、行政に直接、相談した上で最終的な判断をくだすことが望ましいです。
『薬機法管理者』有資格者によっては、関連行政機関への確認・相談を通じて、より精緻な判断材料を得ることができ、適切なリスク管理が可能です。
「資格証を携帯して、行政と交渉をするようにしたら、担当者の態度が変わった」という声もあります。
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『薬機法管理者』と生成AIが、お互いの強みで補完し合う時代
私たちは、AI時代における広告表現と薬事チェックについて、大きな転換点にいます。
この変化の最適解は『薬機法管理者』と生成AIの協働作業による、新しい働き方と価値の実現です。
『薬機法管理者』の強み
『薬機法管理者』は、薬機法の専門知識を有し、法的な解釈や複雑な判断を行うことができます。
日々変わる、行政の運用や個別の状況や文脈、ニュアンスに即した広告表現や薬事チェックを提供します。
『薬機法管理者』有資格者も、資格取得後、下記のように述べています。
- 第三者からの信頼はだいぶ変わる
- 仕事の量と質は大きく変わる
- 対外的な信用が高まり、大手企業からの案件が増えた
- 仕事の量と質は大きく変わるセミナー講師としての依頼が増え、新たな収益源が生まれました
生成AIの強み
一方、生成AIは、大量のデータを迅速に処理し、薬機法に関連するキーワードや可能性のある問題点を瞬時に特定することができます。
特に、薬機法に抵触しそうなキーワードの一次的なチェックに有効です。
AIは、定型的な作業や大量のタスクを効率化に役立ち、『薬機法管理者』の負担を軽減します。
結果として、『薬機法管理者』が実践的な代替表現の開発など、より戦略的な業務に集中できるようになります。
このAIと『薬機法管理者』の協働作業は、ヘルスケア業界の広告表現や、その薬事チェックに革新的な変化をもたらし、企業のリスク管理や、競争力を高める上で重要な役割を果たします。
まとめ
- 生成AIの登場で薬事チェックも効率化
- 生成AIにも限界があり『薬機法管理者』の存在と検証は、より重要
- 『薬機法管理者』と生成AIが、お互いの強みで補完し合う時代
